風が駆け足で通り抜けていくこの屋上は私の一番お気に入りの場所で、
ここが好きな理由は、風が気持ち良いとか、空が綺麗とか、そんなんじゃないの。
彼がここ好いているから。
「高杉さあ、たまに凄く格好良い事言うよね。」
「・・あー・・“カーネギー”のな、アレ。」
同じクラスメイトの高杉とはここでよく会う。
クラスではあまり話したことはない。
だけどここで会う時はいつも夢中で喋ってるし、
ここ最近はそれが日課みたいになってきちゃったりしてる。
きっとそれはやっぱり彼の事が好きなんだ。
笑ってる彼が凄く好き。
そんなにお人好しには見えないけど、凄く優しい人だから。
私の思いはきっといつまで経っても伝わらないだろうけどね。
「他人に興味を持つことによって自分自身を忘れよ。毎日、誰かの顔に喜びの微笑が浮かぶような善行を心がけよ。」
「それも“カーネギー”?」
「ああ。」
もちろん沈黙の間の彼の横顔だって愛おしい。
あたしは上手く誤魔化せているのだろうか。
「は他人に興味持つ事とかあるのか?」
あたしは貴方にしか興味なんてないんだけどな。
「うん、あるよ。」
「俺も、」
「高杉も?」
走ることを止めない風があたしと彼を走り抜けて、それからいつもの口調で彼は「ああ、」と呟いた。
言葉で人を変える事くらい俺には容易な事だ。
SEO
掲示板
[PR]
爆速!無料ブログ
無料ホームページ開設
無料ライブ放送